  いかがでしたか。舌足らずで臨床経験のないカウンセラーの方便みたいな印象をお持ちになったかもしれませんが、筆者【拾壱】の組んだ道徳プログラムに脆弱（ぜいじゃく）性があり、体系化も未熟であることは重々（じゅうじゅう）自認しています。 しかし、科学の世界において真理や定説の揺らぎを「補助仮説」が修正するように、それらの欠陥は道徳システムをダウンさせるほどの致命的なセキュリティーホールではありません。どんなに手強（ごわ）いクラッカー（論客）が現れても、せいぜい重箱の隅をほじくるような揚げ足取りや粗（あら）探しに明け暮れるだけのことでしょう。 なぜなら、こんなことを真顔の熱血モードで言うと逆に嘘っぽく聞こえてしまうかもしれませんが、道徳は神話や詭弁（きべん）ではなく燦然（さんぜん）たる『哲理』だからです。食事にマナーが求められるように、人生の万事に渡って礼儀や作法があって然（しか）るべきなのは、自明の理でしょう。 楽しいけれど虚しく終わる独善的な人生ではなく、美しい生き様に共感し、共鳴して、共振するという「人間が人間（精神体）であることの慶（よろこ）び」というものを、道徳は啓示してくれているような気がしてなりません。 |
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