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A 8


 もし、本当にそのような人がいるとしたら、失礼ながら初心(うぶ)で単細胞な「お馬鹿さん」ですね。道徳は、よく単なる「禁欲的」なものと勘違いされやすいようですが、人間も動物なので基本的な生理欲求の制限がすぎれば、正常な判断力さえ奪われかねません。

 精神修養が高じて意識が混濁(こんだく)し、脳内麻薬が分泌(ぶんぴつ)されてハイ(High)になった状態を仏教でいう「解脱(げだつ)」だと錯覚するようなこともあるそうですが、それらは道徳とは無関係です。精神的なトレーニングが無意味とまでは言いませんが、少なくとも「他者」のいないところには道徳も成立しないと言えます。

 飽くまで、他者を本位とする献身や愛に基づいた行為が道徳であり、その『共有』においてのみ結果的に自身が得をする(会得・体得・習得・感得する)場合もあるということです。手段と目的を転倒させたり、自己目的化(他者手段化)させたりした仮初(かりそめ)の美徳は、異形(いぎょう)のナルシシズム(自己愛主義)にすぎず、美しくも何ともありません。







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