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A 7


 道徳が「不文律」なのは、不磨(ふま)の大典として明文化すれば智慧(ちえ)としての柔軟性が損なわれ、教条的になってしまうことを先人たちが察知し、恐れたからかもしれません。平たく言えば、時と場合によって臨機応変(りんきおうへん)に使い分ける必要があるということです。

 例えば、「嘘をついてはならない」という項目を杓子定規(しゃくしじょうぎ)に現実へ当てはめると、裏切り者の殺人犯に仲間の居場所を聞かれて平然と答えることが正しくなってしまいます。この場合につく嘘は、巨悪を予防するための「小悪(必要悪)」として許容されるはずです。あるいは、自分(の気持ち)に嘘をついてさえいなければ、それは真の意味において嘘ではないのかもしれません。

 ことほど然様(さよう)に、道徳(倫理)はカント的な定言命法や金科玉条(きんかぎょくじょう)の如き「論理(学)」には収まりきらない理法なのです。







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