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道徳が
「不文律」
なのは、不磨(ふま)の大典として明文化すれ
ば智慧(ちえ)としての柔軟性が損なわれ、教条的になってしまう
ことを先人たちが察知し、恐れたからかもしれません。平たく言え
ば、時と場合によって臨機応変(りんきおうへん)に使い分ける必
要があるということです。
例えば、「嘘をついてはならない」という項目を杓子定規(しゃく
しじょうぎ)に現実へ当てはめると、裏切り者の殺人犯に仲間の
居場所を聞かれて平然と答えることが正しくなってしまいます。こ
の場合につく嘘は、巨悪を予防するための
「小悪(必要悪)」
とし
て許容されるはずです。あるいは、自分(の気持ち)に嘘をついて
さえいなければ、それは真の意味において嘘ではないのかもし
れません。
ことほど然様(さよう)に、道徳(倫理)はカント的な定言命法や
金科玉条(きんかぎょくじょう)の如き「論理(学)」には収まりきら
ない理法なのです。
注釈:*不文律(その集団の中で、暗黙のうちに守られている約束事)*不磨の大典(永久の重大な法律)*明文化(文章に明確に書き表すこと)*教条的(事実を無視して、原理原則を押し通す態度)**臨機応変(その時々の場面や状況の変化に応じて、適切な処置を施すこと)杓子定規(融通のきかない様子)*然様(そのような・その通りの)*カント(ドイツの哲学者。自然科学的認識の確実さを求めて認識の本性と限界を記述する批判哲学を創始し、合理論と経験論とを総合するとともに「コペルニクス的転回」を果たす。また、実践的観点からの形而上学の復権を図り、ドイツ観念論に決定的刺激を与えた)*定言命法(人間の意志を制約する道徳法則のうちで、人間一般に無条件に当てはまる絶対的なもの・無上命令)*金科玉条(いちばん大切な決まり)
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